閑話01:今日も明日も頂きます
「いっただっきまーす!」 食べる前から大満足ボイスと一緒に手をあわせたのは国俊、その隣ではブロック・ブレッド肯定派のくせしてちゃっかり相伴に預かっている国行。三日月さんはずいぶん上機嫌に漆の箸を手にしていて、吉行はにっかにっかとご機嫌な顔で…
文章刀剣乱舞
01:本丸稼働五日目で起きた米騒動
始業時間は午前九時半、終業時間は午後六時半。なにもかもが定まっていないサーバー改め本丸内でとりあえず就業時間の大枠だけを決めて、あとは疑問が挙がったタイミングで随時解決を図ることにする。国俊曰く、「そうでなきゃ主さん、雁字搦めになって決め…
文章刀剣乱舞
00:なるようにするだけ
都内某所のオフィスビル。スーツを着こなした死んだ顔に混ざってエレベーターですし詰めにされたのち、二重のセキュリティゲートを通過。そこのところは一級品のくせして、何故か最後は扉を人力で開くアナログ方式。ドアノブを下ろして足を踏み入れたるは見…
文章刀剣乱舞
あとは野に散る薔薇となる
まるで獣めいた人間の咆哮、咆哮の如き鬨の声。最前線でそれを煽る身でありながら、意識の奥底が戦争に必要なものを冷たく嗤う。言い知れぬ精神の乖離にも、そこから目を逸らし続ける諦念にも、この五年で疾うに慣れてしまった。慣れなければ、戦争などする…
文章FE3H,フェリクス
あとは野に咲く花となれ
その存在を認識したのは、春を迎えてしばらくが経った頃のことだった。 幼馴染を付き合わせては日課の如く訓練場で剣を振るい、適当な理由を付けてそこを去っていった軽薄な後姿にフェリクスが溜息を吐いたときのことだ。幼馴染の赤髪が視界の端に映らなく…
文章FE3H,フェリクス
アンダー・ザ
( Support C / in school ) 中庭に広がる薔薇園のふち、仄かに甘やかな花の香りが広がる影。リンハルトが最近発見した昼寝場所は中庭からも建物からも死角となっているようで、誰かが自分を探しにやってくることもない。午睡と惰眠…
文章FE3H,リンハルト
マイ・ロード
( Support C / in school ) それは修道院の食堂横を通り、市街地へ向かおうとしたときのことだ。休日に広がる独特の喧噪のなかでも僅かに異質なものを見つけたから視線をそちらへ滑らせれば、女性のひとりが困り果てたような顔で頭…
文章FE3H,エーデルガルト
マイ・ローズ
( Support C / in school ) 夜半過ぎに隣の部屋の扉を数回小突く。なかから声が聞こえるよりも先に「兄様」と呼びかければ「入りなさい」とお許しをもらったから、お邪魔しますと扉を開ける。夜に異性の部屋へ足を運んではいけない…
文章FE3H,フェルディナント
魚は天馬の夢を見るか
窓を開ければ風が差し込む。晴れて乾いた空気、山際のそれより柔らかくしっとりとした。食堂の窓のすべてを開けて、広い空間の掃除を始める。ガルグ=マク大聖堂では規則正しい生活をしているひとが多いから、朝には朝の混雑があって、それまでにはこの場所…
文章FE3H,シャミア
宝石をさがす旅
「。しばらくの間、君に暇を与えようと思う」 主君からの言葉に、耳を疑った。けれどこの身体は、他ならぬ主君から傾けられるものだけは取り違えることがない。それならばと、次に自らの頭を疑った。だが都合の悪い幻聴が内から生まれいずるとも考えられず、…
文章原神,行秋
ブルー・バード
開けた宝箱のなかからこぼれだす金銀財宝に、思わず感嘆の息が漏れる。世界各地を巡って幾多もの旅を重ねてきたけれど、これほどの煌めきは幾らも出会ったことがない。それほどまでの輝きに、旅人はともに宝箱の蓋を開いた仲間と思わず手を握り締めあった。…
文章ベネット,原神
私の小鳥
戦禍の深手が未だ色濃く残る土地の視察に向かい、帰りに立ち寄った望瀧村でひとびとの声に耳を傾け、それと同時に提出される報告書を腕に抱く。そうして心海が珊瑚宮へ戻ったときには既に夜が世界へ暗い緞帳を落としており、人気の少ない回廊でささやかな吐…
文章原神,珊瑚宮心海