行秋

宝石をさがす旅

「。しばらくの間、君に暇を与えようと思う」 主君からの言葉に、耳を疑った。けれどこの身体は、他ならぬ主君から傾けられるものだけは取り違えることがない。それならばと、次に自らの頭を疑った。だが都合の悪い幻聴が内から生まれいずるとも考えられず、…

錦織の傘を差す

 ひとに満ちた璃月港は、いつだって活気に溢れている。それが燦々と陽光の降り注ぐ昼下がりであれば尚のこと、そこかしこで商人と客のささやかな賑わいが生まれていた。 さてそんな璃月港の小路を通りかかった旅人は、ふとその先の喧噪に気が付いた。開かれ…