珊瑚宮心海

私の小鳥

 戦禍の深手が未だ色濃く残る土地の視察に向かい、帰りに立ち寄った望瀧村でひとびとの声に耳を傾け、それと同時に提出される報告書を腕に抱く。そうして心海が珊瑚宮へ戻ったときには既に夜が世界へ暗い緞帳を落としており、人気の少ない回廊でささやかな吐…